April 30, 2006
バリスタの人生 in South Africa
南アフリカ共和国におけるスペシャルティコーヒーの話。
□変わりつつある文化□
アフリカ大陸最南端に位置する南アフリカ共和国。
この国の住人たちは、昔から紅茶やビールを愛好していました。イギリス領であったことも影響していたかもしれません。
つい最近まで、南アの人々の口にスペシャルティコーヒーが入るということはなく、コーヒーと言えば、よくて”ネスカフェ”、ひどい場合になるとインスタントコーヒーにチコリが混ざったものだったのです。
しかし、この国にも少しずつ小さいながらも味覚に対する変化が起きています。
そして、そんな変化の中で、よりスペシャルティコーヒーを広める為に働く一人の女性がいます。
南ア最大の都市、ヨハネスブルグにあるカフェ”ヨーロッパグルメバスケット”の24歳のバリスタ、ノムサ ンデレバさんです。
皆さんもよくご存知のように、南アは表舞台にその姿を表すようになったのは10年程前のことです。それというのも、アパルトヘイトによる人種差別による迫害と世界的な動きからの孤立が原因でした。
しかし、様々な民族解放運動の結果として解放、自由化が進み、人種差別の撤廃が進められました。(現実的にはまだまだ根強く残っています)
その自由化運動の動きの影響の一つとしてスペシャルティコーヒー文化が小さいながらも花を咲かせ始めています。
□偶然からコーヒーの世界へ□
ンデレバさんの子供の頃の環境を考えると、バリスタという職業に就くようになるとは想定外のことでした。
彼女は、南アと隣接するジンバブエのプラムツリーという小さな街で生まれ育ちました。
子供の頃は、コーヒーがどんな香りがして、どんな味がするか、またどんな見た目かも知らずに育ったそうです。何もない土地で、ただただ貧困だけがあったと言います。
そんな彼女は、中学3年ぐらいになるとそのまま勉強を続けるお金もなく、ジンバブエのムガベ大統領の圧政のために父親と共に南アに移ります。
そしてたまたまヨハネスブルグで働いていたいとこから、コーヒーショップでウェイトレスを探している、との話を聞き応募しました。
彼女が持っているものといえば、自分で身に着けた教養、そして無邪気な笑顔、ちょうど彼女の名前が意味する”優美さ”を備えた笑顔だけでした。
でもそんな彼女は、そのグルメバスケットカフェでウェイトレスの職を得ます。
そしてウェイトレス仕事の合間をぬって、マネージャーたちからミルクのスチーミングの仕方、エスプレッソの抽出の仕方を教わり、彼女のバリスタとしての才能が開花し始めるのです。
彼女のプロフェッショナルとしての高い意識、人間としての温かさとまじめさは、瞬く間に彼女を最も名誉あるバリスタの一人に押し上げました。
今や優秀なトレーナーとして、彼女が勤めるカフェのチェーン店が新店をオープンしバリスタを雇う度に、バリスタたちを彼女の元へ派遣しトレーニングを受けさせます。エスプレッソを抽出するために、コーヒーを作るにあたっての正しい事は何かを学ぶために。
□ハンディキャップの中での人生とキャリアの構築□
ンデレバさんの成功が驚くべきものであるのは、何も彼女の幼少の頃の状況が状況だったから、という訳ではありません。
驚くべき事に、彼女は週のうち6日、一日あたり10時間以上もコーヒーを作り、提供しているにも関わらず、彼女自身はコーヒーを飲まないのです。
エスプレッソマシンの前に立って数年以上が経過した今、彼女は、香りに対する鋭い感覚、見た目に関する感覚を備えてしまったのです。
彼女は失敗した場合、すぐに色や香り、クレマの状態などですぐに分かるそうです。
しかし、こうした仕事上で成功している彼女ではありませすが、日々の生活は決して楽ではありません。
週6日勤務は長く、ヨハネスブルグの賃料は安くはありません。
また彼女には3歳になる坊やがいます。仕事が終わると、保育園に迎えにいき、帰宅後、食事の支度に洗濯、掃除。
ジンバブエの家族に送金もしなければなりません。
店は繁盛していますが、一歩外へ出れば、急速に変化しつつある都市は、様々な問題を抱えています。
40%もの高い失業率、数多くの移民や住民との衝突、根強い人種差別、エイズの大流行などです。
彼女自身も店で白人から怒鳴られたり、差別を受けたりする事もあるそうです。
ただし、彼女曰く、「私自身は、歓迎されない移民の人たちのような扱いを受けたりすることはないわ。」と。
□彼女の夢と将来展望□
南アでは、本当にごくごく最近になって、少しずつコーヒー文化が育ちつつあります。
彼らにとってバリスタ大会に挑戦することは、夢のまた夢のような話。
でも、いつかバリスタ大会に出て、世界中のバリスタたちと出会う日を待ち望んでいるそうです。
それは同時に、南ア以外の国を旅することができる、という事も意味し、彼女の瞳が強く輝く瞬間でした。
現実は困難な問題を抱えながらも、彼女は将来に希望を持っています。
彼女は言います。
「確かに、私はお金が必要よ。でも、現時点では、お金の問題じゃないの。だって私はとても楽しんでいるしこの仕事を愛してるの。長いこと関わってきて、私にとっては家で仕事をしているような感じなの。」
彼女は自分だけでなく、周囲の人間にも希望を与えます。
彼女と一緒に働く、アッシャー フィリさんは「彼女は一緒に働くのに最高だわ。お客様も彼女が大好きなのよ。だからとても楽しいわ。」と言います。
いつかジンバブエに戻り、自分の店を持つ事が将来の夢だと言います。
「その時には、家族にもコーヒーの事を教えてあげたい。みんな、絶対に気に入ってくれると思うし、家族も私のことを誇りに思ってくれると思うわ。」
「コーヒーって、とても創造的な仕事なの。そして同時に自分自身が成長することもできる。
だから、私はみんなにもっとコーヒーの事を勉強してみて!って勧めているのよ。」
**
ヨハネスブルグの北部オークランドショッピングセンター内にンデレバさんが勤めるカフェがあるそうです。
訪れる時は、ぜひ月曜日以外に来て下さい、とのことでした。
南アフリカ共和国:Republic of South Africa
首都
人口比率:黒人75% 白人3% インド人9% その他
公用語:アフリカーンス語、英語、その他全部で11言語
主な産業:金、ダイヤモンドなどの鉱物採掘、自動車工業、その他農業品。
出典:barista magazine A Barista's Life in South Africa
□変わりつつある文化□
アフリカ大陸最南端に位置する南アフリカ共和国。
この国の住人たちは、昔から紅茶やビールを愛好していました。イギリス領であったことも影響していたかもしれません。
つい最近まで、南アの人々の口にスペシャルティコーヒーが入るということはなく、コーヒーと言えば、よくて”ネスカフェ”、ひどい場合になるとインスタントコーヒーにチコリが混ざったものだったのです。
しかし、この国にも少しずつ小さいながらも味覚に対する変化が起きています。そして、そんな変化の中で、よりスペシャルティコーヒーを広める為に働く一人の女性がいます。
南ア最大の都市、ヨハネスブルグにあるカフェ”ヨーロッパグルメバスケット”の24歳のバリスタ、ノムサ ンデレバさんです。
皆さんもよくご存知のように、南アは表舞台にその姿を表すようになったのは10年程前のことです。それというのも、アパルトヘイトによる人種差別による迫害と世界的な動きからの孤立が原因でした。
しかし、様々な民族解放運動の結果として解放、自由化が進み、人種差別の撤廃が進められました。(現実的にはまだまだ根強く残っています)
その自由化運動の動きの影響の一つとしてスペシャルティコーヒー文化が小さいながらも花を咲かせ始めています。
□偶然からコーヒーの世界へ□
ンデレバさんの子供の頃の環境を考えると、バリスタという職業に就くようになるとは想定外のことでした。
彼女は、南アと隣接するジンバブエのプラムツリーという小さな街で生まれ育ちました。
子供の頃は、コーヒーがどんな香りがして、どんな味がするか、またどんな見た目かも知らずに育ったそうです。何もない土地で、ただただ貧困だけがあったと言います。
そんな彼女は、中学3年ぐらいになるとそのまま勉強を続けるお金もなく、ジンバブエのムガベ大統領の圧政のために父親と共に南アに移ります。
そしてたまたまヨハネスブルグで働いていたいとこから、コーヒーショップでウェイトレスを探している、との話を聞き応募しました。
彼女が持っているものといえば、自分で身に着けた教養、そして無邪気な笑顔、ちょうど彼女の名前が意味する”優美さ”を備えた笑顔だけでした。
でもそんな彼女は、そのグルメバスケットカフェでウェイトレスの職を得ます。
そしてウェイトレス仕事の合間をぬって、マネージャーたちからミルクのスチーミングの仕方、エスプレッソの抽出の仕方を教わり、彼女のバリスタとしての才能が開花し始めるのです。
彼女のプロフェッショナルとしての高い意識、人間としての温かさとまじめさは、瞬く間に彼女を最も名誉あるバリスタの一人に押し上げました。
今や優秀なトレーナーとして、彼女が勤めるカフェのチェーン店が新店をオープンしバリスタを雇う度に、バリスタたちを彼女の元へ派遣しトレーニングを受けさせます。エスプレッソを抽出するために、コーヒーを作るにあたっての正しい事は何かを学ぶために。
□ハンディキャップの中での人生とキャリアの構築□
ンデレバさんの成功が驚くべきものであるのは、何も彼女の幼少の頃の状況が状況だったから、という訳ではありません。
驚くべき事に、彼女は週のうち6日、一日あたり10時間以上もコーヒーを作り、提供しているにも関わらず、彼女自身はコーヒーを飲まないのです。
エスプレッソマシンの前に立って数年以上が経過した今、彼女は、香りに対する鋭い感覚、見た目に関する感覚を備えてしまったのです。
彼女は失敗した場合、すぐに色や香り、クレマの状態などですぐに分かるそうです。
しかし、こうした仕事上で成功している彼女ではありませすが、日々の生活は決して楽ではありません。
週6日勤務は長く、ヨハネスブルグの賃料は安くはありません。
また彼女には3歳になる坊やがいます。仕事が終わると、保育園に迎えにいき、帰宅後、食事の支度に洗濯、掃除。
ジンバブエの家族に送金もしなければなりません。
店は繁盛していますが、一歩外へ出れば、急速に変化しつつある都市は、様々な問題を抱えています。
40%もの高い失業率、数多くの移民や住民との衝突、根強い人種差別、エイズの大流行などです。
彼女自身も店で白人から怒鳴られたり、差別を受けたりする事もあるそうです。
ただし、彼女曰く、「私自身は、歓迎されない移民の人たちのような扱いを受けたりすることはないわ。」と。
□彼女の夢と将来展望□
南アでは、本当にごくごく最近になって、少しずつコーヒー文化が育ちつつあります。
彼らにとってバリスタ大会に挑戦することは、夢のまた夢のような話。
でも、いつかバリスタ大会に出て、世界中のバリスタたちと出会う日を待ち望んでいるそうです。
それは同時に、南ア以外の国を旅することができる、という事も意味し、彼女の瞳が強く輝く瞬間でした。
現実は困難な問題を抱えながらも、彼女は将来に希望を持っています。
彼女は言います。
「確かに、私はお金が必要よ。でも、現時点では、お金の問題じゃないの。だって私はとても楽しんでいるしこの仕事を愛してるの。長いこと関わってきて、私にとっては家で仕事をしているような感じなの。」
彼女は自分だけでなく、周囲の人間にも希望を与えます。
彼女と一緒に働く、アッシャー フィリさんは「彼女は一緒に働くのに最高だわ。お客様も彼女が大好きなのよ。だからとても楽しいわ。」と言います。
いつかジンバブエに戻り、自分の店を持つ事が将来の夢だと言います。
「その時には、家族にもコーヒーの事を教えてあげたい。みんな、絶対に気に入ってくれると思うし、家族も私のことを誇りに思ってくれると思うわ。」
「コーヒーって、とても創造的な仕事なの。そして同時に自分自身が成長することもできる。
だから、私はみんなにもっとコーヒーの事を勉強してみて!って勧めているのよ。」
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ヨハネスブルグの北部オークランドショッピングセンター内にンデレバさんが勤めるカフェがあるそうです。
訪れる時は、ぜひ月曜日以外に来て下さい、とのことでした。
南アフリカ共和国:Republic of South Africa首都
人口比率:黒人75% 白人3% インド人9% その他
公用語:アフリカーンス語、英語、その他全部で11言語
主な産業:金、ダイヤモンドなどの鉱物採掘、自動車工業、その他農業品。
出典:barista magazine A Barista's Life in South Africa
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1. Posted by
Honolulu Advertiser
June 17, 2006 10:31

