April 04, 2006

ロブスタの復権

beans_sample 先日のブログで、ロブスタ種をアラビカ種にブレンドすることについては、アメリカでも議論の対象になっているとの話をしましたが、アメリカのコーヒー紅茶トレード雑誌の"Fresh Cup"からその記事をかいつまんでご紹介したいと思います。
ロブスタ種とアラビカ種についてはこちらをどうぞ

***

<ロブスタ種に異を唱える人たち>

ロブスタ種は、エスプレッソ発祥の地であるイタリアのエスプレッソにも伝統的にブレンドされています。有名なイタリアエスプレッソブランドである"illy"は、ロブスタの使用については反対の姿勢を取っている影響もあってか、最近は変わりつつあるようですが。

ロブスタ種のブレンドについて反対意見を唱える人々は、コストを抑えるためだ、とか、何週間も(何ヶ月ではないにしても)店頭に並べておけるようにしておくためだ、とか様々なイチャモンをつけます。
そして、ロブスタがたとえどんなに細心の注意を持って高品質のものを選んだとしても、ゴムのような、タールのような、猫のおしっこのような(失礼!)、かびの生えた床のような味がするのは避けられない!と言います。


<ロブスタの魅力>


さて、では一方ロブスタ種をエスプレッソにブレンドする人たちの意見はどうでしょうか。

多くのアメリカのロブスタ擁護者は、本物のエスプレッソはイタリアにルーツがあり、彼らのロブスタをブレンドしたエスプレッソはその伝統に忠実であると言います。

そして、良質な高品質のロブスタが適切にアラビカ種とブレンドされると、

・安定して長く持続するクレマを生み出すことができる
・深いコクを生み出す
・酸味を軽減することができる

と言います。

確かに、ロブスタ種はアラビカ種よりも安価なため、コストを抑えることができ、かつ店頭での販売期間をアラビカ100%のものよりも長くする事が出来るので、経営に貢献してくれることも間違いない事実です。

こうした事実を除いて、純粋にエスプレッソというものを考えた時に、ロブスタを混ぜると、アラビカだけでは生み出す事ができない理想的な品質を作り上げる事ができると擁護者の人たちは言います。

その代表的な人にはシアトルでも日本でも有名なエスプレッソヴィヴァーチェのデイビット ショマー氏、その他カフェダルテのキッポラ氏、ヴィクトローラコーヒーのトニーコネクニー氏などです。

さらに、コーヒーに関する様々な著作で知られるデイビッド ケネス氏もその擁護者の一人であり、彼がクライアントにロブスタを混ぜたもの、アラビカだけのものを提供すると、皆ほぼ、ロブスタを混ぜたタイプを選択するそうです。

デイビッド ショマー氏は、アラビカ種だけで構成されているエスプレッソを否定している訳ではなく、きちんと丁寧に栽培された高品質なロブスタ種は、彼のエスプレッソにとって不可欠なものになっているだけだと言います。
これは1993年に彼がイタリアを旅して以来のようです。
その時のイタリア人との話で、イタリアのコーヒー業者は、いかに上質な、深いコクとクレマを生み出すロブスタを見つけることができるか、常にその事で頭が一杯になるそうです。
これが勝負の分かれ目と言っても過言ではないほど、彼らに取っては重要であり企業秘密だそうです。

この話の結果から、ショマーしのまろやかで不快感を与えないロブスタを探す旅が始まったそうです。

ロブスタ擁護者の人の中には、今のアメリカのアラビカ100%によるエスプレッソは本物ではないと言う人もいます。

アラビカを支持する人たちは、こうした動きに対してどのような考えを持っているのでしょうか。

<アラビカ100%>


アメリカのスペシャルティコーヒーの世界でアラビカ100%が主流であると思われる理由の一つは、アメリカスペシャルティコーヒー協会”創立の父”と言われるダン ショーンホルト氏が長年に渡ってロブスタに異を唱えているからと考えられます。

彼もロブスタを何年も前に飲み、ブレンドしたりと研究をしましたが、彼は自分のエスプレッソにロブスタを使わないと決めたそうです。

また、アメリカのスペシャルティコーヒー業界での根強い反ロブスタは、スペシャルティコーヒー協会を設立したメンバーがエスプレッソ好きというよりもドリップコーヒー派だったことが影響しているのではないか、という意見もあります。

これに対してショーンホルト氏は言います。
「もともとの創立メンバーは、コーヒードリンク愛好家ではなくて、”豆の信奉者”だったと言える。スターバックスもコーヒードリンクを売っていたのではないし、ピーツコーヒーなども豆の販売のみだった。」

しかしショーンホルト氏は、時代の流れや変化、こうした議論の発生についてはオープンでありたいと言います。論争があることは事実だけれど、物事は変化することもまた事実だから、と。

coffee_cupping_1そして、単純にロブスタを否定する訳でもなく、そのカフェオーナーや焙煎担当者が求める味を具現化するにあたってロブスタは必要ないと判断し、使わない人もいるので、これはそのカフェがどういうコーヒーをお客様に提供したいかに大きく依存すると言えるでしょう。

ロブスタの混入比率に関する検証もされており、10%〜15%の混入であればロブスタがブレンドされているとは分からない、と言います。
そしてクレマを生み出すために重要なのは、豆の種類ではなく、焙煎の仕方と鮮度によると。
互いに様々な研究をした上で、何が良いのかを選択するわけです。


<中道派:ブレンドするしないは選択の問題


ロブスタ擁護者の一人であるヴィクトローラコーヒーのコネクニー氏は、他のロブスタ擁護者たちと同調しているわけではありません。

「ロブスタを使うのは、たくさんクレマを作りたいからじゃない。素晴らしい香りや酸味を抑えてくれ、自分たちの”唯一の味”を具現化してくれるからだ。」

「常に、ロブスタをブレンドするしないは、選択の問題だよ。」と。
彼は常に自分たちのコーヒーを求めて、ロブスタを混ぜるか混ぜないかを検討し試行錯誤を続けます。常に様々な事に対して柔軟性を保ちたいと考えています。

***

アメリカのスペシャルティコーヒー業界も常に試行錯誤の繰り返しで、時代とともに変化をしています。
エスプレッソマシンも進化しますし、エスプレッソの抽出技術も進歩します。
当然ですが、こうした豆自体についても様々な議論がされます。豆の栽培自体も大きな課題の一つでもあります。

こうした議論がされるのは、それだけスペシャルティコーヒーに対する意識が高いことの現れでもあり、活発な世界であることの証拠であると思うのでとても良いことだと思います。

最終的には、カフェのオーナーの好みもさることながら、お客様が喜ぶコーヒーを提供できるかどうかにかかっていると思います。
それは、決してコーヒーの味だけではなく、そのカフェの持つ雰囲気、バリスタやスタッフたちの人間性、そうした全てが合わさってお客様がやってくるのだと思います。

よりおいしいコーヒーを求めて日々研究を重ねる姿勢は尊敬に値するものであり、その根本にあるのが、”お客様によりおいしいコーヒーを提供するため”であることを心から願っています。


masonbar at 22:22 │Comments(0)TrackBack(0)コーヒーについて 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
最新記事
Archives
Categories
Blog内検索